アイデアのつくり方

アイデアのつくり方

ジェームス・W・ヤング(1960), 今井茂雄(訳, 1988), 竹内均(解説, 1988)

CCCメディアハウス

要約

広告業界に身を置く著者が、いかにしてアイデアを創出するかについて個人的な経験をもとに書いた小論。本編約60頁弱とかなり短いのが特徴で、解説・訳者あとがきの合計が本編と同じくらいの頁数になっている。

感想

原著の初版刊行から80年以上の年月を経ても耐えうる読み応え、素晴らしい1冊。

内容としては、「1)よく調べ2)よく咀嚼して3)一旦リラックスし4)降ってきたアイデアを5)人に見せてフィードバックを貰う」という一文にまとめることができてしまう。

しかし一言一句に無駄がない。非常に洗練された文章であるため、要約でなく実際に読むことに意味がある本だと思う(あくまで私見だが、エッセンシャル思考はこれの真逆で、タイトルが内容の9割を語っていたような印象があった)。

加えて解説と訳者あとがきも面白い。

解説の竹内氏はテープレコーダーに録音した自身の発言を秘書に書きとらせていたそうで、エピソードが面白すぎる。と、思っていたら著作が280冊もあるそう(2004年にご逝去されていて、最終的に著作は410冊になったそう。とんでもない)。「アイデアのつくり方」の解説として適任すぎて笑ってしまった。

訳者の今井氏は、将棋やスポーツを例にあげて「不自由な約束事(私にとっては縛りという言葉がなじみ深い)」があるからこそ創造性が発揮されると考察していて面白い。

総頁数102という少なさながら骨までしゃぶりたくなるとても良い本だった。