本は10冊同時に読め!
成毛眞(2013)
三笠書房
要約
元マイクロソフト社長が語る読書術。タイトル通り、併読を推奨している他、どういう本を読めばよいか、いつ読むべきか、など、人生をステップアップさせるための読書術を軸に書かれている。
感想
強すぎる上昇志向と強者の理論が組み合わさったせいで、的を射た話が霞んでしまっている、すごく勿体ない一冊。
普段自分が読まないであろう本を積極的に読んでみる、わざわざ最後まで読む必要はない、成功体験を書いた本はあまり意味がない、頭でっかちは大いに結構であとはそれをどう生かすか、良い本を読め、など。挙げればキリがないくらい中々ちゃんとしたこと言っている。(もちろん、メモを取るな、文学作品は意味がない、など同意できない部分もそれなりにあるが)
ただ、そういう良い言葉と同じくらいの頻度で「庶民」という言葉が出てくる。そんなに煽ってどうするのかね、大衆を先導したい欲求でもあるのかというくらい庶民を連呼している。もしくは何か恨みでもあるんか…….?
ところで私は、読書とは自由であるべきだと思っている。
一冊一冊丁寧に読む必要はなく、飽きたらやめてもいいし、本書のように何冊も併読してもいいし、ひたすら積読を増やしてもいいと思う。そして、そういう考えがもっと広まればより良い社会(ちょっと規模が大きいけど)になると思っている。
本書は、そういう意味で読書の自由さを肯定する本でありながらも、その動機が「庶民からの脱却」のみに固執していて、読書の幅を広げているのか狭めているのかよくわからない。
あまりのめりこまず、適宜ツッコミを入れながら冗談半分に読むとすごく味わい深い本だと思う。