砂漠の林檎 – イスラエル短編傑作選
母袋夏生(2023)
河出書房新社
各種リンク
作家
- サヴィヨン・リーブレヒト
- アターッラー・マンスール
- イリット・アミエル
- ウーリー・オルレブ
- シュラミット・ラピッド
- ミハル・ゴヴリン
- シャイ・アグノン
- シュラミット・ハルエヴェン
- エディ・ツェマフ
- オルリ・カステル=ブルーム
- ダン・ツァルカ
- ユーディット・ヘンデル
- A・B・イェホシュア
- ニカノール・レオノフ←情報なさすぎ
- ダン・パギス
- サミー・ミハエル
研究者
要約
全17編のイスラエル短編集。
感想
中東の文学を全く知らないのですごく新鮮で、読んでいるだけで面白かった。
とはいえ、新鮮さを抜きにしても非常に優れた選集だと思う。
特に、バランスの良さに惹かれる。
歴史的に、ショアや人種等の社会的な問題を取り上げる作品がありつつも、日常を切り取った作品、寓話や民話なども織り交ぜられていて、短編集でありながら広く深い一冊となっている。
またこの味わい深さの一因に、著者たちの多種多様な出生があるのは間違いない。250頁は単行本として厚くないはずなのに、あまりにも多くの要素が凝縮されており、非常に濃い内容となっている。
大変恥ずかしいことに、私は文学のみならず政治・経済の分野でも当該国家を取り巻く種々の問題等に無知だったため、それらを知るきっかけにもなった。
イスラエルについて学びつつ、何度も何度も読み返したい一冊。
余談
著者たちの情報が少ない。特にニカノール・レオノフなんて日本語・英語・ヘブライ語で検索したけどWikiすら出てこず、LinkedInくらいしか見つからなかった。
政治・経済の話題は多いけど、文学になると激減するのかな。もしくは単に私の調べ方が悪いか。