グラーキの黙示1

グラーキの黙示1

ラムジー・キャンベル, 森瀬繚

サウザンブックス社

感想

「楽しく読めた」という感想を持てるのが何よりも嬉しかった。というのも、TRPGをきっかけに興味を持った4、5年前の私は、ラヴクラフトの小説の読みにくさに挫折してしまっていた。確か新潮文庫の「インスマスの影」だったはずだが、今でも多少苦手意識のある翻訳本ということに加え、とかく専門用語が頻出するので、物語を楽しむ脳のリソースは残っていなかった。

そして今回、これまた大昔にクラウドファンディングで入手してから積んでいた本書をたまたま手に取って数頁進めたところ、面白い! おそらく読書の経験値が増えたおかげで、話を理解するという行為だけで脳を占有しなくなったのだろう。結果として、新鮮で、毎話楽しむことができた。

特に「ヴェールを剥ぎ取るもの」が一番のお気に入り。短いながらも、人間のとめどない好奇心と愚かしさが凝縮されていて、徹頭徹尾ぞくぞくさせてくれる。また、「グラーキの黙示」や「ネクロノミコン」といった書物や、ユゴスにて登場する「テイラー」など、他作品との関わりも感じられて、より没入できるのも良い。少し話は逸れるが、グラーキの黙示の総巻数があやふやであるが、これも人智を越えた書物という感じがしてすごく好き。

本書に関しては2巻が残っているけれど、この調子ならかつて挫折したラヴクラフトにも再挑戦できるかもしれない。新たな趣味の扉が開いた気がして、とっても楽しい。

余談

この方のスパナの解釈好き。

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