乱読のセレンディピティ

乱読のセレンディピティ

外山滋比古(2016)

扶桑社文庫

感想

読むタイミングに恵まれた、「今現在の私」にとっての良書。

というのも、私は現在百年の孤独を読んでいる最中である。現在文庫版にして200頁ほど、約三分の一を読み終えたわけだが、とにもかくにも文章が堅くて読みづらい。面白いのは面白いのだが(不眠の病にかかったときの騒乱ぶりは声に出して笑うくらい面白い)、それ以上に疲れてしまう。読破したいという一心で、精根を使って読んでいるきらいがある。

また、最近仕事がたてこんでいる。タスクが重い、そして多い。百年の孤独を読める悠長さなどないような繫忙ぶりである。もはや何が原因か分からないが、ストレスが着実に溜まっているのは実感できる。

そんな折、息抜きがてら手にした本書は、表題の通り乱読を薦めている他、とにかく気楽な読書を推奨している。重たい小説と重たい仕事で澱み凝り固まった心がほぐされていくような心地よさがある。少しだけ気持ちが軽くなったようである。

依然として仕事は減らないし、百年の孤独も読了できていないけれど、少し肩の力を抜いて取り組めそうである。「書物は心の糧である。(p.50)」まさに、正鵠を射た言葉である。