読書会入門

読書会入門

山本多津也

幻冬舎新書

感想

 読書会を主催するので、読書会について学ぶ第1弾。

 新書で200頁もないくらいなのであっさりと読めるが、13年の蓄積(刊行当時)があるだけに、参考になることが多い。コミュニティは子供である、合議制にしない、古参やヒエラルキーをつくらない、主催者は幹事であり尊敬されてはいけないなどは、参加するだけでなく心にも留めておきたい言葉である。

 そして特に印象に残ったのが以下の言葉。

 そして何より、それまでどんな本を課題本としてきたかというのは、猫町倶楽部という組織の思想を端的に表すものなのです。

p.43 第二章 読書会とは何か?

 これは努々忘れないようにしたい。というのも、私は人集めに自信がないゆえに、ややともすると人の集まりやすいテーマを選んでしまいそうになる。それで盛況になれば良いかもしれないが、そうやって他人からのウケを気にして開催したという事実はふくふく読書会の歴史としてずっと残り続けてしまう。何か月、何年と続けたときに、振り返ることのできるような読書会を目指したいものである。

 それから、前々から読書会の参加者に対する私の想いが、そっくりそのまんま言語化されていて、驚きつつも激しく頷いた。それは「読書会でモテる人は読書会以外にも居場所を複数持っている」という言説である。私は「モテる」というより、「風通しの良い人、人柄の良さ」に置き換えて考えていたが、その他は概ね同じで、十何年も読書会を続けてきた人と考え方が似通るのはちょっと面白い。

 ふくふく読書会も、そういう場所にしたい。ふくふく読書会にしか居場所がないのではなくて、他に色々と居場所があって、そこでの出来事を嬉々として話してくれるような場になればすごく良いなと思う。具体的にどうするかというよりも、そういう想いを根底に持ち続けていれば、自ずとそういう方向へ動いていってくれる気がする。たぶん。ワタシノナリタカッタワタシノミライフというやつである。