正しい家計管理

正しい家計管理

林總

すみれ書房

感想

 だからといって、「節約しなくては」と焦ることはありません。財産目録を作る意味は「自覚すること」にあります。
 「自分には借金がある」
 「借金はないけれど、貯蓄額=財産ではないことがわかった。思ったよりも純資産は少ないんだな」
 と意識できさえすれば、おのずと予算の組み方やお金の使い方は変わってくるのです。

p.43

 引っ越しして金欠中の私の耳が痛いのなんの。

 正直、口座3つ持って管理するのはハードルが高すぎて実践する気になれない。確かに出勤フローをそのくらい煩雑にしたほうが、財布の紐は固くなるだろう。とはいえ、口座開設それ自体がめんどくさく、それをあと2回もしなければならないのは、億劫の極みに他ならない。

 とはいえ、「節約しなきゃ」と焦っていた私の頭を整理してくれたこともまた事実である。お金はあくまで手段でありそれ自体には価値がなく、結局のところどのような幸福を目指すのかが重要なのである。こうして書いてみるとあまりにありきたりなのだけれども、焦りが視野狭窄をもたらしており、ライトな実用書が案外私に響いたのである。

 そもそも実用書自体あまり読まないので、新しい世界を知るという意味でも面白さがあった。例えば、想定読者は主ふのため、家族がいて住宅ローンを組んでいたり車を持っていることが当たり前になっているのである。リベラルな小説ばかり読んでいる私からすると、なんてステレオタイプな家族観なんだと思ったりもするけれど、いわんや家計管理を必要としているのはそうした家族が主なわけで、理にかなっているのだ。

 それでいて表紙が素朴なのも面白い。内容はともかくとして、本棚に面置きしたくなる装いは素敵で、実際私はそれもあって図書館で本書を手に取ったのである。そもそも出版元のすみれ書房自体が、「美しい実用書」を掲げているようで、同出版社の存在も、装幀の良い実用書の存在も知らなかったので、ある種新たな学びとなった次第である。

 とにもかくにも、家計管理、頑張るぞ!!!!!!!!