感想
短歌は、文字通り短い。だけど、アフォリズム的なわかりやすい歌はあんまり心に響かない。おぉ~と感心することはあっても、想像の余地はさほど大きくなく、それ以上の感慨は起こらないのだ。
つまり、わかりにくいほうが、私の好みである。背景に想いを馳せ、想像を膨らませることができる。歌の作った感情の波が、私の心の波と重なって新たな波紋を創り出す。そういう歌の方が、読んでいて楽しい。自分自身の中を森を歩くように探検している気分になれる。
本書においては、前半にそういう歌が多かったように思う。光や風、花といった普遍的なモチーフから抽象を生み出しており、作者の意図を飛び越えて、ある意味私が身勝手に妄想できる余地がある。
一方で、後半は「大切な人を失った」という明確な背景があるため、中々自由に妄想させてくれない。枠組みが見えてしまっており、小説を読む気持ちに近いのだ。もちろん小説を読むことも好きだが、短歌にはどうしてか、余白を残してほしいと思ってしまう。31音という短さに窮屈を覚え、心を自由に広げたいと思っているのかもしれない。
とはいえ本書は、私にとって普段馴染みのない短歌集であるにも関わらず、癒しの読書タイムとなってくれた。二人で一緒に読み、感想を逐次共有しながら読んだというのも大きいだろう。というかそれが全てな気がする。そういう人がいるということ、本当に、有難い。
