感想
笑えるような、笑えないような……。
作品自体は、内容をなんとなく知っていたこともあり、面白いけれど特段の感情の起伏はなかった。「サバキスタン(ビタリー・テルレツキー&カティア)」という類似作品(当然オーウェルのほうが先だけど……)を読んでいたし、スターリニズムの権威主義を批判する擬人化作品には慣れていたのだ。
とはいえ、その背景については知らないことばかりで、視点が増え、解像度が高くなったように思う。印象的だったのは、ウクライナ版序文を鑑みるに、オーウェルは社会主義を批判したかったのでなく、むしろスターリニズムの虚構を暴き真の社会主義を提唱しようとしていたこと。
そもそも私は、第二次世界大戦当時、スターリニズム的社会主義の「ご威光がすごかった(p.192)」ことを知らなかった。確かに今でこそ資本主義経済が世界を席巻しているが、イデオロギー戦争とも呼ばれる大戦中は、正解が定まっていなかったからこそ、社会主義が過大評価されていたのだろう。
スターリンと社会主義は結び付けられがちだ。共産主義との違いをわかっていない私ならなおのこと。オーウェルは、そんな雑な認識に訂正を促してくれる。人物と思想は、互いに関わっているけれども、互いから離れて独立してもいる。言葉にすれば当たり前っちゃ当たり前だが、改めて胸に刻むことができた次第だ。
とはいえ、訳者の山形氏はオーウェルの思想から、社会主義そのもの及び無知かつ意志のない市民を批判する論へと発展させる。これは私も読みながら常々感じていたことでありつつも、耳が痛い話である。先日読んだ「風が吹くとき」でも書いたことだが、昨今の国内および国際政治では、独裁者じみたトップによる横暴が跋扈している。違和感を覚えつつも特に行動しない私はまさに本作での動物そのものであり、彼らの行く末は……。
とまれ、1943年~1944年と比較的最近書かれた作品の割には、しっかりとした古典となっていて驚きを覚える。今回は訳者解説に沿った感想になったが、2回目以降の感想は言わずもがな変わっていきそうである。いわんや読書会(3/7予定)も楽しみだ。
