チームふたり

チームふたり

吉野万里子, 宮尾和孝

学研

感想

 本書の初版は2008年、私は小学2年生だった。対象が中学年からとあるので、たぶんその2年後くらいに読んだのだろう。続編のチームあしたも読んだ記憶があり、つまり本作は面白かったということだと思っている。

 時は流れ2026年。「ペア・コンビ」をテーマにした読書会の参加に際し、本書の存在をふと思い出す。上記の通り面白く読んだ記憶はあるし、大人になったからこその面白さもあるだろう。岩波少年文庫はいつ読んだって面白いのだから、記憶に残る児童文学とはそういうものなのだろう。そう思って久しぶりに読んだ。

 ……びっくりするほど、思ってたんと違う。

 スポーツ小説だと思っていた。表紙にもある通り、卓球のダブルスを通して、主人公と相棒が絆を深め、試合に勝利する物語だと思っていた。というか、そういう話を読んだはずだった。

 ところが蓋を開けてみれば、主人公の父は失業して引きこもりになるし、ヤングケアラーがいるし、多忙な医者の親を持ち家で孤独に過ごす人物もいて、小学生が読むには些か壮絶な環境が次から次へと登場する。母親がおらず、祖母と分担してぜんそくの妹の面倒を見るため試合に参加できない女子部員に、それでも見学なら来られないかと提案する主人公に対して、「あたしが家を半日空けて、その間に妹が救急車呼ばなきゃいけなくなったら、どうしてくれんの(p.175)」と発する言葉は、大人でも返答に窮するほど、重たい。

 しかも、主人公が困難(下手な下級生と組んで引退試合に臨まなければいけないこと)を解決するきっかけは、卓球の中でなく家庭で見出す。失業した父を支える母が、私たちはチームだからと言う。どちらかが困ればどちらかが助けるという精神性が、卓球のダブルスの見方を変えており、良い話ではあるもののスポーツ小説ではないのだ。

 どうして小学生当時の私は本作を面白いと感じたのだろう? いや、面白くはあるのだが、卓球小説でないという点で、どうにも違和感が拭えない。とはいえそういう勘違い含めて、ほぼ20年ぶりに読むことができて良かったとも言える。たぶん。