クランボルツに学ぶ夢のあきらめ方
海老原嗣生(2017)
星海社新書
要約
「クランボルツの計画的偶発性理論」を軸に、夢との付き合い方を説明する本。
感想
名著。
現在の私自身の心境や境遇に共鳴するところがあったので、少し大げさであるのは自覚している。が、ド名著。
名著その1、過不足がない。
「夢を追え vs 地に足つけろ 論争」に決着をつけ、そもそも夢なんてねーよって人にはキャリア論を説き、逆に働きながらでも夢を追いたい人へアドバイスもし、楽観・悲観のタイプ別に夢との付き合い方も解説する。あまりに取りこぼしがなさすぎる。
また、説明不足でないのはもちろんのこと、変にくどくない。同じような内容の話を何回も使って嵩増しするような姑息なことをしていない。
ジョブズの話だけかなり手垢が付きすぎているネタなのでなくてもよかったように思うが、ほとんど過不足がない充実した内容になっている。
名著その2、誠実。
著者はおそらく芸人が大好きなのだろう。一切の躊躇いなしに芸人を例にあげまくっている。一方で、あまり明るくないであろう音楽の話では「この領域には詳しくないので」と断りを入れる。また、歴史の話をするときには「正確には多少異なります」と入れておく。
自信をもって話せるところは潔く、そうでないところにはフォローを入れる。うじうじもせず、無謀でもなく、とにかく自身の書く文章に対して真摯である。
名著その3、内容。
1と2は著者の良さだった。そして、この素晴らしい著者から放たれる素晴らしい教え。特に「夢を消化せよ、生煮えさせるな」は心に深く深く響いた。
タイトルの寂寥感とは反対に、希望とエネルギーに満ちた素晴らしい本だと思う。世に数多蔓延る薄っぺらいビジネス書ベストセラーより有名になって然るべき本だとも思う。
名著、ド名著。
(いつも以上にひどい)余談
本書のテーマソングこれだと思う。