感想
「ありす、宇宙までも」「CHANGE THE WORLD」「かげきしょうじょ!!」「少女歌劇レビュースタァライト」エトセトラエトセトラ。演劇のあるコンテンツが好きな理由が詰まった一冊だった。
「対話」と「エンパシー」。演劇はそれらの練習でありつつ、本番でもある。他者のもつ「コンテクスト」、文化的背景や価値観の違いに想いを馳せ、自身のそれと擦り合わせていく。提示された選択肢からひとつを選び取ることもあれば、新たな選択肢を見つけ出すこともあり、自分のベストではないにせよ、共同体としての最良を模索してくのだ。
こうした在り方は、イノベーティブといった実利的なメリットのみならず、当事者たちの心を押し広げ、豊かなものにしていく。いわんや文化的であるということでもあり、憲法第25条で規定された「必要」なものなのである。演劇はただの娯楽ではないのだ。
これは読書会にも言えることだと思う。多様な他者とお喋りをし、多様な背景に想いを馳せながら新たな視点を獲得したり、全く知らない本と出会い世界が広がっていく。まさに本書で語られた演劇の力そのものである。著者が演劇によって豊岡を盛り上げたように、私も読書会を通してたくさんの人の世界を広げるお手伝いをしたい次第である。
一方で、本書に目新しい内容はあまりなかった。私の読書遍歴の「おさらい」のような内容で、数年前に読めばなるほどと思うこともあったろうが、今回は「そうだよね」と思うことが多かった。とはいえ、「対話」と「エンパシー」への考えを整理することができたし、豊岡という演劇のユートピアのような場所を知ることもできたので、当然無駄ではない。
最近、初めて劇団四季を観に行った(アナ雪)。あれはミュージカルだが、舞台芸術の力をまざまざと感じた。この経験に本作を加えて、観劇欲がマシマシである。アラジン(劇団四季 4月)が楽しみだ。
